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事件と事故

近頃マスメディアを騒がしたできごとといえば、京都府南丹市で起きた小学5年生男児の事件がある。事件当日は、被害者が通学する小学校の卒業式の日だった。朝、父親が小学校まで自家用車で送ったのではあるが、小学生の姿を直接見た目撃者はおらず、監視カメラやドライブレコーダーなどにも撮影されていなかった。不可解であり、何らかの事件の発生を予感させた。マスコミは連日報道するとともに、慎重な報道体制になった。

ところが、小学生を捜索中に、小学生の持ち物だったリュックが、雨に濡れた様子もなく山中で発見された。次いで、別の離れた所でスニーカーが見つかった。そして遺体の発見という最悪の事態となった。

一見ばらばらに見つかった品物ならびに遺体であったが、事件に関係する自宅、小学校、遺物、遺体などを地図に記すと、道幅の狭い山道や連絡道路に沿ってつながっていることが分かった。とくに容疑者が父親であることが判明しつつあり、同じ地図上に容疑者の通勤先を記すと、まさに「点から線」になったのである。事件の詳細と解明はこれからの捜索を待つしかないが、この事件を教訓として、事件の発生を防ぐ方策が望まれる。

この事件が未だ収まらない頃に、私の家の近所で、夕方5時過ぎに交通事故が発生した。夕方のニュース番組を視聴していたら、見覚えのある事故現場はテレビ画像の中にあった。現地からの映像はヘリコプターからの中継映像である。小学3年生の女児が車にはねられ重体とのこと、車の運転者は20才の若者だった。

事故の発生場所は、集合住宅群と大手企業の研究所ならびに公園が道路を挟んで東西に立地している道路の横断歩道上であった。事故の直後2週間ほどの異例の速さで、標識などが新設された(通例だと半年はかかるとのこと)。事故前は速度制限の標識がなく、道路上にペイントで書かれていなかった。よって時速60kmが制限内であった。事故後は、速度制限が30kmの丸い標識が設置された。横断歩道の所は、赤色のペイントで両方向に描かれた。もっと早くからこのように示されているとよかったのにとつくづく思う。

事故現場に供えられた花が、人々の悲しみを増大させている。女児は、不幸にもその日の内に亡くなった。あまりにも短い生涯となった。そして加害者は罪を背負った長い人生の始まりになった。交通環境の改善が進み、人々の意識も高まることにより、今後この種の事故が無くなることを祈るばかりである。

(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)