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数年前のNHK教育番組で、音楽家の坂本龍一と他の専門家によるジャズ教室があり、中高生などがセッションに参加して、ジャズの基本を学ぶ番組があった。専門家による理論的な解説や実技の試みなど贅沢な内容であり、なかなか興味深かった。その番組の中で、ジャズの真髄の一つに「コール&レスポンス」があるとの説明があり、実際に複数のジャズプレイヤーが演奏して見せた。ジャズに限らず、この「コール&レスポンス」(呼応する、打てば響くの意)なる考え方は他の分野にも参考になると思うので本欄でも紹介したい。
コールは英語の’call’であり、呼びかけに当たる。ジャズ演奏チームのどこかのパートが呼びかけるかまたは仕掛けると、他のパートの演奏者がそれに応える('response’)と言うわけである。一見、自由に臨機応変に演奏しているようで、実は基調となる柱があり、その基調からの変化で演奏表現していく。そして、最後は見事にまとめ上げることになる。
考えてみると、大学の授業科目もコール&レスポンスから成り立っている。大学の場合は、学部なり大学院研究科なりは、大学の理念のもとに学部や大学院研究科の目標を掲げる。その目標を達成するために、授業科目(カリキュラム)の構成と担当者を考える。企業が理念の下に、商品やサービス内容を構成するようなもので、どのようなカリキュラムにするかは、学部や大学院研究科にとっての生命線である。大学側の期待や要望に応えて、担当教員はどのような授業にしたらよいかを組み立てる。近年では、通年型(30回)の授業よりも学期型(15回)の授業が多くなっている。一刻も早くあるまとまった知識を習得したいということであり、学期が一つのユニットになった。例えば、15回ならば、1回のオリエンテーションから始まって、導入、基礎、展開、総括などの流れで授業が進み、レポート作成や期末試験で評価し、終了となる。
授業の実施段階では、教師と受講生である学生・院生との関係が重要であり、教師の問い掛け(コール)に対して、受講生がどのように応えるか(レスポンス)、そしてさらに教師はどう対応するかと、コール&レスポンスの連鎖は途切れない。もし、このやり取りが、前向きに行われ、参加者全員がお互いに得るところがあれば、良い授業の成立となる。
理髪店に例えれば、顧客と理容師とのどちらともなく問い掛けがあり、それにどちらともなく応える、というやり取りの連鎖が続く。眠っていたい客には静かに対応するのが良く、話好きの客には、良き聞き手となり、上手に相槌が打てることが望ましい。時には、理容師自身の体験や考えていることをさりげなく伝えれば、お客が乗ってくるかもしれない。相槌と言えば、近年引退宣言した映画監督宮崎駿の名プロデューサーである鈴木敏夫(スタジオジブリ)は、適切な相槌を打てることが良きプロデューサーの要件の一つであると明言している。私たちの毎日は、コール&レスポンス展開の連続なのである。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
