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Men’s Life Style
金安 岩男

著者:金安 岩男
1947年2月に東京の下町に生まれる。
学部で経済学、大学院で地理学を学び、外資系情報企業、国立大学、私立大学での勤務経験を有し、研究、教育、研修などの各種プロジェクトを実施。地理学者として、計画実践、プロジェクト発想に取り組んでいる。海外諸都市の街歩き、相撲などを趣味に、発想のヒントをいつも探究中。社会的活動として、政府機関、地方自治体の各種審議会、委員会などの会長、委員などを務めている。
主な著書に、『時空間の構図』、『プロジェクト発想法』、その他多数。現在は、慶應義塾大学名誉教授、新宿自治創造研究所所長。

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日常の作法から、各種規則や法律に至るまで、私たちはルールの下に生きている。例えば、スマートフォンなどの情報環境における作法、食事の作法、取引のための交渉や契約等々。ルールは、社会生活を円滑に送るために必要である。個人的な問題から、国際的な問題まで、さまざまなルールがあるが、ルールにはその厳格さには幅があるので、その運用はなかなかむずかしい。今回は、私たちの日常生活に身近なルールのことを取り上げる。

最近のニュースとして、技術の発達により心臓ペースメイカーへの影響もほとんどないことから、電車内の携帯電話の利用を認めようとの動きがある。携帯電話やスマートフォンの利用形態の変化が、社会のルールを変えていく一例と言えそうである。また、自動車を運転している立場からは、自転車の右側走行は、正面衝突をするのではないかと、いつも大変心配である。自転車の走行が左側厳守に徹底されることになったが、自転車利用者に対して周知徹底のための交通教育が必要だと思う。

会議などの集合時間や開始時間を守らない人が少なからずいる。通常の会議だと、給料が差っ引かれたりする罰則がないことをよいことに、遅刻もしくは欠席の常習犯がいるものだ。会議は一見退屈で無駄のように思えるが、定足数が必要な重要な会議もあるし、手続きを踏んでおり、参加者は会議の内容を確認することができる。議事や報告内容が分かることにより、ある特定の大変な仕事を担当している人が誰で、どのような苦労をしているかを知ることにもなる。文字面では分からないニュアンスを感じ取ることもできる。さらには、当該組織体で、一緒にかつ一所懸命に取り組んでいる人たちの労力を思いやる気持ちは、人間として欠かせないものの一つである。

ルールは、ラテン語のレグラに由来し、真っ直ぐな棒、定規、模様などを意味する。平たく言えば、きちんとしているということ。英語でルーラーとは、定規のことである。ルールがなければ、秩序が保てず、混乱が起こることが予想される。例えば、左側通行であるべき車道を、逆走すれば交通事故が発生し、死者がでる。道路も封鎖されて支障が生じるだろう。これなどは、交通ルールの持つ重要性がはっきりしている。ところが、一時期さまざまな議論があったように、エスカレーターに乗る際に、立ち止まらずに急ぎ足で歩いて行く人が結構多くいる。先日も、年配の女性と、急ぎ足でエスカレーターを急ぐ若者との間で、言い争いがあるのを目撃した。ルールがゆるやかであいまいだからなのだろう。一体どのようなルールになっているのだろうか。

エスカレーターの所には、「危険。歩くのは止めてください」との表示がある。速足で歩くことを想定してエスカレーターは設計されていない。歩くと揺れることもあり、危険ということである。私の知人は、エスカレーターで上から落ちてくる人によって、腕を骨折する被害に遭った。現在のエスカレーターの状態を考えると、二列に並んで、停止状態でエスカレーターに乗れば、それほど時間もかからずに大量の人が移動できる。慌てないということも人生修行に必要である。また、健康維持のためには、いっそエスカレーターに乗らずに階段を歩けばよい。より健康になれば、社会全体の医療費負担は減少する。私は、基本的に階段は歩くことにしている。社会全体の医療費負担の減少に、大いに貢献しているのではないかと自負しているが、皆さんはいかがお考えだろうか。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
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