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人間は、その誕生する前も後も学び続ける生き物であるようだ。自らの生存のために、挑戦と失敗を繰り返しながら、環境によりよく適応しようとする試みが学習であるといえるかもしれない。今回は、芋づる式に学ぶ、探索学習の楽しさを探ってみることにしたい。
企業研修などで、ゲスト講師が、「これからはある特定の領域を深く掘り下げるだけでなく、異なる領域にも広く目配りしなければいけません。よって、広く深くの『T型人間』を目指しましょう」、と指導している。T型人間も悪くはないが、私は、これからは「i型人間」を目指した方がもっと良いように思う。今、職場の有力メンバーの一人が突然退職したら、チームの再編成を検討しなければいけない。取替ができればよいが、後任の適任者がすぐ見つかるとも限らず、当分は少ない人数で仕事をこなさねばならない。メンバー変更は、そのチームワークを良くも悪くもしてしまう。大切なことは、メンバー変更は常にあると心得て、より良いチームワークのための仕組みづくりを目指すことが大切である(生き物の細胞の常なる変化とその対応と同じこと)。別の言葉で言えば、再編成、再構築などと同じ意味であり、「統合化」(インテグレーション)のことである。つまり、「i型人間」(インテグレーション型人間)とは、環境変化に対して、適切に適応することが可能であり、全体として組み立てる統合化能力を有した人間像を意味している。
最初は何が何だかよく分からないことであっても、次第にいろいろなことがつながり、「あー、そのなのか!」と思うことは多々ある。私たちの身の回りのものの生産、流通、消費のありようがどうなっているのかを知ることは興味深いことである。例えば、目の前にある一本のボールペンが語るものは何か、そして、夕食のさんまの産地、流通経路、保管方式、流通機構、価格付け、料理方法等々。考えてみると、人のつながりも不思議である。例えば、私がある調査研究プロジェクトを実施した際に、依頼元でパートナーとなった相手が、偶然にも出身高校の同期生であったことがある。また、ある委員会で私が座長を務めた時に、積極的な発言をするある委員が、私の出身高校の後輩であることを後で知った事もある。これらは、出身高校つながりなので、何となく他人としてではなく、身近な存在として連帯意識が働くから不思議である。ともに同じ学び舎で学んだという共通の経験と感情が機能することに由来しているのだろう。
ある落語家は、寄席の高座の座布団一枚に人生のすべてがあると語っていた。同様に、四畳一間の茶室は、その面積こそ狭いが、内包しているものは無限大にもなる世界である。最初は、断片的な知識だと思っていても、その後いろいろなつながりが持てれば、全体の意味がつかめてくる。たとえ些細な事であっても、たかがと侮るなかれ。何事もつながっているし、大きな世界になり得る可能性を秘めている。大きくしようとする気持ちと考えになれるかどうか、が分かれ道である。
大きな視野を持ちつつ小さなことから手掛けるという意味で、「着眼大局、着手小局」といわれている。私は、小さなことに着目し、小さなことから着手して、最終的には大きな世界に展開するという意味合いを込めて、「着眼小局、着手小局、そして着地大局」を主張したいと思う。小さな部分がつながっていく時の手ごたえを感じながら、探索学習を楽しみたいものである。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
