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私たちがこれから行なおうとしていることに関して、あらかじめ検討した上で考えをまとめ、提案することは誰もが行っている。考えたことを文書にするかしないかは、場合にもよるし人にもよる。今回はものごとをあらかじめ検討することを意味する企画について考えてみた。
自分自身の興味や関心に照らして、どのような分野の仕事についたらよいか、そのようなことを漠然と考える時期が人生にはある。私の場合も、いろいろなことについて調べたり、あらかじめ企画や計画を立てることは好みの一つだった。個人的好みがどのような職業に結びつくのかは、真面目に考えることもなかった。ところが、大学で学んだことを就職後も継続し、公共的な研究プロジェクトに従事し、その後は研究職についてしまった。人生を振り返ると、結果的には似たような世界をうろうろしていたことになる。
企画した内容を取りまとめた文書は、企画書と呼ばれている。英語でプロポーザルといい、ビジネスの世界ではお馴染みである。プロポーズは求婚を意味するが、プロポーズ(提案)とパーポス(目的)とが同じ意味の言葉であることは興味深い。語源を調べると、ラテン語の、’proponere’ に由来することが分かる。’pro’は前に進めることであり、’ponere’は場所や位置を意味する。よって、企画書は、元来「目的を持って前に進めるために提案する書類」であることが分かる。因みに、「企」の古語は「くはたつ」で、「くは」は「かかと」を意味する。したがって、「くはたつ」とは、かかとを上げて爪先で立つことである。これで、くわだてるための企画や計画の本来の意味が良く分かる。
何かのプロジェクトを考え実施するためには、まずは理解してくれる人や組織を見つけ出し、資金を獲得する必要がある。研究者の場合ならば、研究資金であるし、非営利組織ならば活動資金に当たる。私は、かつて同僚と一緒に、全国100名の研究者を動員する大型研究プロジェクトを企画したことがある。4年間で8億円となる研究プロジェクトの企画書を作成することになった。企画書自体が小冊子にもなる分量だった。事前の打ち合わせや企画書印刷代などに、約40万円の予算を大学に特別に認めてもらった。予算要求活動の準備活動のために予算を計上することはなかったので、特別の処置だった。ある意味では研究推進のための投資のようなものである。一次審査は通過したが、残念ながら二次審査を通過することはできなかった。この研究資金獲得活動の過程で、各分野の研究者との連携が生まれ、貴重な体験となった。
今や世界的な建築家として知られる安藤忠雄にしても、建築提案に関する建築コンペでは勝ったり負けたりだと言っている。金額は問わず、予算要求活動の挑戦によって、人は鍛えられていく。企画書はそんな厳しさを示す一例であり、どの世界も現実の戦いは厳しいのである。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
