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年の初めの一月は気の引き締まる月であるが、あっという間に終わり、二月になってしまう。各人が、それぞれの月について、さまざまな印象や想いがあることと思う。二月は、気温の低い日も多く、最も真冬らしい月のように感じるが、どのような月なのであろうか。
大学で教鞭をとっていた時は、大学の年間行事が生活のリズムになっていた。教員をしばっているのは「学事日程」である。この学事日程には、各学期の初めと終了、入学式、卒業式、大学祭、入学試験などの公式行事の日程が記載されている。そして時間割が学期中に大学側が学生に提供すべき講義科目を提示している。ある種の契約関係なので、理由なく休講にしたら、すべきことをやっていないのだから、契約不履行と解釈されるに違いない。
私立大学においては、一月の期末試験が終わると、二月は答案やレポートの採点期間、大学院の論文審査などがあり、入学試験に突入する。入学試験自体は一日か二日で終了してしまう。ところが、大学側の立場からすると、入試の事前準備、試験当日、事後の採点、合格発表、入学手続きなどのさまざまな作業が伴い、結構多忙でかつ緊張する時期である。
そんな二月であるが、昔は如月(きさらぎ)と言った。そこで、如月を使った江戸時代の川柳に以下のものがある。
如月は寝て卯月には立ち給ふ
如月が「二月」、卯月(うづき)が「四月」で、後は「寝て」と「立ち給ふ」だから、日本語の単語としてはすべて分かる。しかし、これだけでは、全体として何を意味しているのかは、瞬時には分かりにくい。川柳は、おかしみ、軽妙さ、うがち(真実をつくの意)などに特徴があるが、ある種の謎解きの愉しさもある。謎解きのヒントは、仏教の生みの親である「お釈迦様」に関係がある。
釈迦は、二月十五日に亡くなったとされ、涅槃会(ねはんえ)がその日にいとなまれる。横になっている釈迦像でお馴染みである。四月八日は釈迦の生誕日である。釈迦はこの日に、生まれてすぐ七歩を歩き、右手を天に、左手を地に指し示し、「天上天下唯我独尊」と発したとされる。証明しようがないので私には到底信じがたい。「・・・といわれている」類の伝説である。上述の川柳は、釈迦の入滅と生誕のことをそのまま川柳にしたのである。ということは、江戸時代の人は、釈迦が二月に亡くなり、四月に生誕したことを常識として知っていたということである。
多くの日本人がキリスト教のイエス・キリストの誕生日を知り、クリスマスツリーや照明飾りで盛大に祝っている。一方で、仏教文化が普及した日本ではあるが、仏教の釈迦についてあまり知らずにいる。何とも不思議な感じであるが、商業主義の勝利の結果なのだろうか。それぞれの組織や仕事には年間の行事日程と生活のリズムがあるが、そのことを強く認識させられる年度末近くの二月である。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
