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実務の世界にいると、詩の世界は遠く感じるものである。私の場合も、中学、高校の国語の授業で習った時代から、詩の世界とは遠ざかっていた。ところが、ふとしたことから、詩の存在を意識するようになった。
最近、東京西郊にある某女子大学の文化研究の講義にゲスト講師として飛び入り参加することになった。そこで、話題づくりに少し工夫をしてみた。工夫の意味は、私がこれまであまり手掛けたことのない文化的な素材に取り組んでみたらどうなるか、という試みのことである。そこで、私の高校生時代の文庫版の参考書の冒頭にあったリルケの詩を引用してみた。リルケはオーストリア出身の詩人である。その参考書には出典が記載されていなかったので、残念ながらその詩の出所は不明である。
歌や詩や画は・・・
それらは「在る」とはいえません。
それらはそのつど「成る」のです。
(リルケの言葉より)
少し解説してみましょう。キーワードは、「在る」と「成る」の二つの言葉。歌や詩や画などの芸術作品は、ただ単に、音符、言葉、色などの要素があるだけでは作品にならない。すばらしい作品をつくり出すためには、何らかの考えを持って形にすることが必要になる。つまり、芸術作品を、要素と要素間の関係からなる、ある目的を持った全体の仕組み(システム)と見てもよいし、形にするための考えをコンセプトと見てもよい。
異なる人生を歩んできた二人が出会い、結婚し夫婦になったとする。独り者だった時代は、それぞれの人生があった。夫婦という関係が出来たら、夫婦という名の家庭ができ、その内に子供が出来て家族数が増え、また新たな家庭の展開と相成る。
企業ならば、新入社員や他課からの異動により、ある部署の人員が増えたとする。あるいは新しい機器や新しい仕組みが採用されたとする。すると、ある状態から次の状態に成り、従来とは異なる組織体に変貌していく。この変化の連続が企業の活動である。
私にとっては、コンセプトの意味を紹介する例として、リルケの詩を利用することができた。まさか、半世紀も前の高校時代の色あせた参考書が役立つとは思いもよらなかった。若い学生諸君は、少しきょとんとしていたようだが、「使えるものは何でも使え」である。企業人ならば、詩心は企画や仕事の膨らみを増すのに役立つことだろう。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
