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「趣味: 登山(下山を含む)」。
この記載は確かに面白い。登山は下山を含むのが通常のことなので、わざわざ下山と書かなくてもよい。そこをあえて書くと、何とも面白くなる。喜劇役者の妻だけのことはあって、ユーモアのあるご婦人である。
私も似たようなことを体験したことがある。ある町のハイキングコースを歩いていた時のことである。普段歩きなれていない都会人にとって、短い距離ではあったが、暑い時期でもあったので、上りは結構大変だった。「このコースは反対側から歩いたほうが良かったのかな」との発言があった。同じような山道だったので、どちらから来ても、条件はほぼ同じだった。人間は楽したいと考える動物のようである。
上り下りのことを考えてみると、冒険スキーヤーの三浦雄一郎ならばヘリコプターで山の頂上まで運んでもらい、後はスキーで一方向に下るのみということになったかもしれない。また、東京の湯島神社のように、男坂、女坂と二種類の坂(階段と坂道)が用意されている場合もある。片方は勾配がきつく、もう一方は比較的ゆるやかという区別である。ハイキングコースも、あらかじめ勾配がきついか、ゆるやかかが分かると、コースが選択出来て良いかもしれない。思い出したが、神奈川県の西北部にある大山神社のコースは、勾配に関する情報があった。利用客にとって、判断の選択肢があるのは便利である。さらに、途中まではケーブルカーを利用することもできるので楽である。
東京は坂道が多い。坂道は土地の変化が楽しめるので、坂のある地区は人気地区でもある。赤坂や神楽坂などは、地名にもある通り、坂のある町として有名である。このような場所は眺めも良いので、眺めに関係する地名がついている。富士山が見える坂は富士見坂、海が見える坂は潮見坂、と名付けられている。渋谷もそのスリバチ状の地形から、坂道が楽しめる地区である。町のプロモーション戦略から、「スペイン坂」と命名し、人気の路地裏型坂道として有名になった坂道もある。地名は文化なので、新旧に関わらず大事にしたいものの一つである。
東京の下町は埋め立て地などの平坦な土地で構成されている。そして山の手方面は、台地と谷などがあるので、おのずと坂道が多くなる。昔からある坂にはそれなりの由来があり、その名称からも暗闇坂、胸突坂、紀尾井坂、等々、想像がつく。例えば、中山道にある本郷三丁目交差点は、「本郷もかねやすまでは江戸の内」との川柳で知られている。江戸の城下から北方面に向かうと、江戸からは遠ざかる。本郷三丁目交差点の北側の坂を、「見返り坂」と呼んだそうである。江戸を離れるのだ、との感を強めたことだろう。感じが出ている。
ある時、アメリカ人の地図製作専門家を神楽坂に案内した時、その英文地図に、スロープなる表現が頻発していたのに驚かれたことがある。アメリカの地図中に、スロープという地図表記はあまり見かけないとのことだった。彼の住まいが中西部にあり、平坦そのものであることに起因しているかもしれない。坂道が有名なサンフランシスコやボストンがどうだったか忘れてしまったが、いつか調べなおしてみよう。
なお、若い世代の人たちにとっては、坂道といえば、AKB46、乃木坂46、欅坂46などの方が身近なのかもしれない。これらのグループ名称が、平地の秋葉原から、赤坂・六本木の坂に進化している。どのようなビジネス戦略があったのか、興味深い。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
