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昨年の5月に、本欄の随想5年分をまとめて、『木配り 発想の心得』(ヘアサロン大野グループ)と題した小書を刊行した。その<まえがき>で、私は次のように記した。「私たちは、毎日の暮らしを通じて、仕事や遊びなどの活動をしている。仕事も遊びも、すべてプロジェクトと考えると都合がよい。プロジェクトとは、目標を定め、資源を使い、工夫しながら的確に目標を実現するために、企画、計画、実施、評価などを行う一連のプロセスのことである。要するに、ものごとの見方、考え方、進め方のことである。・・・」
私は、人生はある意味でプロジェクトのようなものなので、「人生これプロジェクトなり」と日頃から主張している。少し説明が必要だと思い、『プロジェクト発想法』(中公新書)という本にまとめて出版したのは16年前のことである。その時の基本的な考え方は、現在でも変わらない。どのような考え方なのか。一つの立方体の箱を例に説明したい。
6つの正方形からなる用紙を用意する。第一の紙には、「企画」と書く。興味関心や問題意識から何かを思いつき、考えを巡らせる。その結果、どのように取り組んだらよいかと段取りを考える段階である。ビジネスならば企画書という形式をとる。第二は、情報を集め「分析」する段階である。データや手順にもとづいた論理的な思考をする。最近では、例として「エビデンス(証拠)にもとづく○○」等といわれることが多い。第三は、頭の体操をして、いろいろな可能性を探る段階である。「感性」を駆使し、想像力を働かせて大いに飛躍し「突拍子のないこと」を考える。第四は、「統合」の段階で、全体がうまく動くような仕組みを考える。第五は、「実践」の段階で、試行錯誤をしながら実行してみる。結果に応じて適宜軌道修正をする。そして、第六は、この仕組み全体の名称となる「主題」を命名するので、いわば「コンセプト」に相当する。
以上六つの正方形の紙から、一つの箱を作り上げる。サイコロは六面からなるので、サイコロを想像すると分かり易いかもしれない。この箱は、ものごとの見方、考え方、進め方をまとめるのに便利なので、私は密かに「ボックス・アプローチ」と呼んでいる。アイディアを生み出す玉手箱という意味である。いろいろな方が思考法について提案されているが、その言い方は若干異なるものの、私の提案と主旨についてはそれほどの差は無い。
改めて考えてみると、「分析」は左脳が得意とする機能、「感性」は右脳が得意とする機能である。どうやら、プロジェクト発想法は、私たちの脳の働きを、プロジェクトの理解に応用したように思われる。つまり、脳による前頭葉(企画)、左脳(分析)、右脳(感性)、運動機能(実行)、中枢機能(統合)などの働きを言い換えたように思われるからだ。脳の働きの応用ならば、人間の考えることだから自然といえば自然であるし、人間らしいとも言える。
私の場合は、「プロジェクト発想法」なる考え方を思いつき実践しているのであるが、皆さんは皆さんなりに、自分に合ったものごとの見方、考え方、進め方を工夫することをお勧めしたい。少し大げさに言えば、生きて行く上での自分に合った「方法論の開発のすゝめ」である。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
