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私は学問を職業としているので、学問の神様が少し気になる。ローマ神話の女神ミネルバが持っているフクロウは知性の象徴として有名であり、土産品としてその彫刻が売られている。日本の学問の神様と言えば、すぐ菅原道真の名前があがる。いわゆる天神さまである。童謡の「通りゃんせ」は天神さまへこどもが七歳のお参りに行く様子を歌っている。
「通りゃんせ、通りゃんせ、ここはどこの細道じゃ、天神さまの細道じゃ、一寸通してくだしゃんせ・・・」「行きはよいよい、帰りは怖い、怖いながらも通りゃんせ・・・」
なぜ帰りは怖いのだろうか。
菅原道真を祀った天神さまは全国各地に存在している。菅原道真は天皇の覚え目出度く右大臣まで出世し、歌人として、そして日本三筆の一人としても知られ、日本の学問の神様と言われている。ところが左大臣藤原時平の讒言により、大宰府に左遷されてしまった。彼の死後に疫病などが都に流行したので、道真の祟りだとして怖れられた。童謡の「通りゃんせ」で帰りが怖いのは、道真の怨霊が疫病や災難をもたらすと信じられていたからである。そこで不遇の死を遂げた人の霊を鎮め、神様として祀ったというわけで、いわゆる御霊信仰である。
昨年の秋に、京都嵯峨野を散策していた際に、小倉山のふもとで立ち寄った小さな神社が「御髪神社」(みかみじんじゃ)だった。気になってこの春も再訪しお参りした。この神社は、「日本で唯一の皆様の『髪』をお守りする神社」をうたい文句にしている。由緒書によれば、亀山天皇に仕えた藤原基晴の三男藤原采女亮政之(うねめのすけまさゆき)が、庄屋の婦女の髪を結って父の助けをしたが、これが「髪結い職」の起源となった。そこで、昭和の初め頃までは、全国の理美容業者は、散髪と始祖藤原政之の冥福を祈って、政之の命日である十七日を毎月の定休日にしていたとのことである。
御髪神社は、藤原政之を祭神とし、政之の神像をご本尊にしている。嵯峨野を散策する機会があれば、小倉池のほとりにたたずむ御髪神社を訪ねるのも一興である。
小倉山峰のもみじ葉こころあらば今ひとたびのみゆき待たなむ 藤原忠平
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
