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学ぶためには教えてくれる専門家がいると便利である。学校の先生はそのような職業の人たちである。だから先生方は、専門家として教え上手であることが望ましい。先生の一言が、ある人の人生を変えてしまうことだってある。先生は何も学校ばかりとは限らない。お花やお茶などのお稽古ごとの先生、スポーツの先生、自動車学校の先生など、各種の先生がいる。何らかの技術や技能を所有している人が先生となり、教わりたい人が生徒になる。
教える専門家が先生だとしても、先生の言動がすべて正しいとは限らない。「先生の言っていること、本当かな?」と、受け止める気持ちが大事である。「反面教師」という言葉がある通りである。教えると教わるの関係性が師弟関係と呼ばれるものである。私は教壇に立つ時は「先生役」であるが、現在「家事見習い中」なので、生徒の一人となる。
「師造化」(ゾウカまたはゾウケと読む)という言葉は、森羅万象が先生であるとする表現である。中国の画家の世界では、「外師造化 中得心源」という表現があるようで、「外に造化を師とし、中に心源を得たり」と日本風に読めばよさそうである。外の世界で目に見えるものの理解と、心中想うことを合わせて一枚の絵が出来上がることをいうのであろう。
「師造化」という言葉が気に入り自分の画号にしたのが、かの葛飾北斎である。北斎は日本が世界に誇る絵師である。彼は、宗理、北斎、画狂老人、戴斗など、その生涯で多数の画号を使用しているが、師造化は若い頃に採用した画号の一つであった。自然も、技術も、人々の心も、すべて先生の役割を果たしてくれる。
身近な出来事から世界情勢までの事柄を教えてくれる新聞も、社会を知る窓として有用な先生である。私は小学生以来新聞を読んでいるので長い時間が経過した。以前は二つの全国紙を購読していたが、報道姿勢に疑問を感じて、今は一つになってしまった。同じような気持ちを抱く人も多いようで、最盛期に比べて、購読者数が半分になってしまった新聞もある。新聞もいろいろな見解を反映しているので、反面教師として位置づけるとよいだろう。
ある事柄について、賛否両論があるのは自然なことである。私たち一般人が、適切な理解と判断ができる素材の提供が望ましい。今や、多様なメディアの登場により、情報の世界は混とんとしている様に思われる。その混とんさを師匠にして、適切な情報の収集、処理、組立、そして判断力を向上させたい。
仕事場での先輩、後輩などの同僚はもちろんのこと、競争企業のやり手諸氏も、良きライバルであり、良き先生でもある。年の差や、経験年数に関わらず、他分野からもどん欲にその良い点の吸収に努めることを推奨する。「森羅万象、何からでも学べる」、というのが今回の主張であった。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
