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何かについて、単に「知る」ことよりも、その何かについて理解し、「分かる」ことの方が、より自分のものになった気がする。「わかる」は、「分ける」ことから始まるとされている。ある事柄をうまく分けることが出来れば、どこに入るかが分かる。分類が難しければ、「その他」の分類項目を立てておけば何とかなりそうである。歴史上、生物や鉱物の世界で分類学が発達し、分類の考え方が重要視されている由縁でもある。ものごとを理解するためには、分け入る「分析」から、まとめ上げる「綜合」までの道のりがある。今回は、「分ける」ことについて少し考えてみた。
日常生活では、黒白をつける、勝負の決着をつけるなど、二つに分けているものが多い。しかも二分法は一目瞭然で分かり易い。政治の世界では右派と左派など、二つに分けて対立図式を明確にしている。日本の国旗は白地に赤の日の丸で、形こそ異なるが、色分けは紅白にしっかりと二分されている。大韓民国(韓国)の国旗である大極旗の中央部は、赤と青からなる陰陽で、二分法である。二分法の類似のものに左右対称(シンメトリー)があり、幾何学的な西洋式庭園がその典型であり、自然を模した非幾何学的な日本庭園との違いが明瞭である。
三つに分けるとなれば、三角形が分かり易い。昔ならば、第一次産業、第二次産業、第三次産業などの産業分類があったが、第一次産業の農林水産業の割合が極端に減り、第三次産業に新たな業種が多数増えると、三つの分類が適切なのかどうかも怪しくなる。一方で、例えば社会の組織を、政府、企業、家計に三分類した三角形を作成し、それぞれの組織体を特徴づける強制力・服従、営利・非営利、効率・互恵などの特性を重ね合わせると、社会の組織の特徴が見えてくるので三分類は便利である。
四つに分けるとどうなるか。異なる二つの指標からなる縦横の二軸を用意し、それぞれの軸を高低で区分すれば、四分割されたものが得られる。これは四分割表と呼ばれている。多くの事柄は、四つの分類で把握できるので、この四分類を活用している人は多い。例えば、喫煙とがんの罹患との関係を四分割表から見て取ることが出来る。喫煙量が増えればがん罹患率が高まる。五つ以上の分類になると、分類しづらくなってくるが、テストの点数や所得などのように数値で抑えられれば、強制的に六つでも七つでも区分することが可能である。
乗り物の新幹線の座席については、グリーン車、座席指定、自由席の三区分があり、料金で区別している。料金による区別を利用者が了解しているから、この料金体系が成り立っている。通常の通勤電車の優先席は、「席の譲り合いにご協力下さい」方式なので、独特の間合いで着席する利用者が決まる。ラッシュアワー時に、「女性専用車両」の表記があるものの、正式には「女性優先車両」であり、あくまでも「女性優先車両にご協力ください」となっているようである。そこで、「男がこの車両を使用しても良いのだ」として異議を申し立てている男性陣たちがいて、女性との間で対立が発生している。不当に分けることは「差別」となるが、正当な理由で分けることは「区別」、単なる「差異」である。納得のいく「分け方」が求められる。
私が担当した授業時に、朝食を取ったかどうかについて、受講生に直接質問したことがあった。質問は、<朝食を食べた/朝食を食べなかった>、の二択であった。ところが、予期せぬ回答が返ってきた。サプルメントを食べた、という回答だった。どちらに分類したらよいのだろうか。私は、ごはんを主体とした日本食か、もしくはパンを主体にした洋食が頭にあった。ところが、学生の方は、食事というよりもサプルメントによる栄養補給に主眼があったらしい。考えてみたら、シリアルと果物とコーヒーで朝食終了としてもおかしくないので、何を朝食とするか定義しないといけない。多様な食事形態があるのだから、分類もきちんとしなければいけないと反省した。
最近、国会の質疑で「朝ご飯を食べたか」論争(「ご飯論法」)があるらしい。質問「朝ご飯を食べましたか」、回答「朝ご飯は食べていません(パンは食べたけれども)」、のやり取りである。これは、意図的に質問をはぐらかすやり方のようだ。意図的ならば、「タチが悪い」し、意図的でなければ、「ずれている」。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
