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舌鋒鋭い落語家として知られた立川談志は、学問について面白い表現をしている。「学問とは貧乏人の暇つぶし」。なるほどと思うこともないではないが、その世界の端に身を置いた経験からすると、少しばかり説明が必要である。学問は金がかかる。昔ならば進んだ国の学者に学ぶ必要があったから、国費で留学したり、原書を購入したりした。器具も外国製品で高価だった。したがって、学者になるためには実家が資産家でなければ難しかった。昔の偉い先生方は、若き学者志望者に、彼らの経済状況を心配したものである。
今ならば、学者・研究者たちは、組織の内外の資源を活用する必要がある。そのために、研究提案書をせっせと書き、研究資金獲得に日夜奮戦している。事務作業に追われて、なかなか研究に時間を割けない、と嘆く研究者は多い。今も昔も、学問に金がかかることは変わらないし、暇もない。
学問は、貧富に関わらず、誰でもが参加できる世界である。学問は、ひと、もの、カネ、情報などの諸資源を活用して、知的情報を蓄積し、新たな知識を創り出す方法や手法を開発する活動である。その活動により社会に貢献するので、社会も社会全体で予算や制度を充実させて支援している。
学問から日常の生活に戻るが、昨年末には喪中のお知らせをいくつかいただいた。亡くなられた年齢は90歳台が多く長寿化を反映している。最高齢は103歳だった。身近な人が亡くなることによる喪失感は大きい。ある人の葬儀という悲しみの場面で、すばらしい表現を耳にした。にっこり微笑むおばあちゃんの遺影を見上げながら、お孫さんがふとつぶやいた。
「おばあちゃんの笑顔で、おじいちゃんの悲しみが段々『上書き』されるね」。パソコンなどで用いる上書き保存の「上書き」が、このような場面で使われると、悲しみに沈んでいる高齢のおじいちゃんの癒しになる。時間がたつのを待つしかない。
明るい場面での表現となると、ヘアサロン大野の創業者である大野孝次郎さんを思い出す。大野孝次郎さんは口八丁、手八丁で洒脱な人として業界の有名人だった。よく冗談を言う人だったが、私がよく聞いた言葉(ダジャレ)がある。
「私たちトコヤは毎日人様の髪をチョッキン、チョッキン。それでチョキン(貯金)ができるんですから。いい商売ですよ」
言葉はコミュニケーションとして欠かせないものである。そして、生きていく上での知恵を生み出してくれる。言葉と人生というテーマを掲げると、言葉と生き方の掛け算で、楽しさが増してくる。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
