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それらの作品は、私たちの文章作成のよきお手本にもなっている。露伴とのやり取りは、珠玉の随筆にみられ興味深いものが多い。今回話題として取り上げる「あとみよそわか」は、国語の教科書にも掲載されており、幸田文『父・こんなこと』の随筆に登場する。聞いただけでは最初は何の事だかよく分らなかったが、よく読むとその意味がなるほどと分かる。
拭き掃除の終わった娘の文に対して、父親の露伴は「あとみよそわか」と言い放った。どういう意味かというと、いったん振り返って、自分の行いに不備がないか、抜かりがないかチェックせよというものである。
「あとみよそわか」を、ひらがなではなく、「後見よ 蘇婆訶」と漢字で書くとその意味が分かりやすくなるかもしれない。「そわか」は、般若心経などのお経の最後に出てくる呪文で、成就する、栄えることなどを意味するおまじないの言葉。よって、「あとみよそわか」は、振り返って再確認すればうまく行くの意味になる。子供たちへのおまじない言葉として効果的である。さすが露伴、飛び切りの教養人である。
日常生活にもこの種の標語的な表現はよく使われる。例えば、栄養バランスの良い食を実現するために、「まごわやさしい」などという言葉がよく知られている。
<ま> 豆類
<ご> ごま
<わ> わかめ(海藻類)
<や> 野菜
<さ> 魚
<し> しいたけ(きのこ類)
<い> いも類
私も、ある時子供たちにまじない言葉を作ってあげたことがある。出かける際に、持ち物を忘れないようにするためであった。それは、5つの持ち物の頭文字を示す次の言葉である。
「さてときけ(聞け)」
<さ> 財布
<て> 定期券
<と> 時計
<き> キャス(ICカード入館証)
<け> 携帯電話
上記5つのものは、今ではすべてスマートフォン1台で済ますことができる。現代の標語を新たにつくるとすれば、「すもじゅう」もしくは「SMJ」とでもいうのだろうか。「スマホ持ったか、充電したか」の短縮形である。私がかつて子供たちに作ってあげたまじない言葉は、古き昔の携帯電話の時代の産物であることを物語っている。昭和どころか平成も遠くなりつつあるようだ。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
