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同じうちわでも、使いようでは効果的な場合がある。一昨年の夏のことだった。必要な公的書類を入手するために、地元の区役所に出かけた。そこで、自治体職員による工夫を経験した。申請書に記入し窓口に提出すると、自分の待ち番号が記されたうちわを手渡されたのである。建物内は冷房が効いてはいたが、高めの気温設定なので、うちわで風を送ることは暑さ対策に効果的である。簡単なことではあるが、職員の工夫に感心した。「良いアイディアですね」と窓口の職員に言ったところ、にっこりとうれしそうだった。最近の自治体窓口は、昔と比べると、その応対も随分親切丁寧になったと思う。
一昨年の夏は効果的だったこの「うちわ待機作戦」も、コロナウィルス対策としては、接触を避ける上からは不適切な対応策といわれかねない。コロナと共にする時代対応を新たに考えださねばならない。難しい時代になったものである。
うちわといえば、気にかかる浮世絵がある。それは、浮世絵界のスター東洲斎写楽にまつわる話である。名プロデューサー蔦屋重三郎が売り出した写楽は突然現れ、人気者になり、そして忽然と消え去った謎の浮世絵師として有名である。活動期間は1794年から翌年にかけての約一年半で、「写楽は何者か」という探求は多くの知識人の関心を呼び、本も多数刊行されている。それら作品は、どれも推理小説のようで面白い。関連書も数十冊には上ることだろう。私も関心があったので、かなりの冊数を手にして読んでみたことがある。私は、「俗称斎藤十郎兵衛 江戸八丁堀に住む 阿波侯の能役者」(斎藤月岑『増補・浮世絵類考』1843年刊行)の説を採用するのが自然で有力だと考えている一人だが、未だに論議は尽きない。
それらの本の中に、栄松斎長喜『高島ひさ』(寛政三美人の一人)と題した浮世絵があり、その浮世絵の中の画中画として、写楽が描いた絵のうちわがあった。写楽の絵は、「四代目松本幸四郎の山谷の肴屋五郎兵衛」と題したもので、左右反転した形で描かれている。この絵の存在により、栄松斎長喜と写楽とは同時代人ということもあり、何らかの交流があったのではないかと推測されている。
うちわを描いた川柳となれば、次のものが有名である。
<寝ていても団扇の動く親心>
短い字数の中で、親の気持ちの機微をうがち、情景を的確に表現している。川柳もなかなかやるなと思う。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
