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「落語家と掛けて何と解く」
「スケート選手と解く」
「その心は」
「どちらも良くスベル」
異質性(落語家とスケート選手)と共通性(同音のスベル)の結合である。落語家にとってスベル(しくじる)ことはマイナス要素であり、スケート選手にとってスベリが良いのは好記録を生み出すので、プラス要素につながる。意外性のある組み合わせとその内容、そして共通の言葉で人々を楽しませている。当意即妙を競うこの手の謎掛けの例は無数にある。
謎掛けが参考になるのは、関係のなさそうなもの同士をうまいこと結び付ける、その方法である。これは、創造性の基本である。創造性は、異なる要素を組み合わせて、何か新しく価値あるものを創り出す能力のことを意味している。まったく新しく素材、商品、サービスを開発することもあるが、従来あるものをうまいこと組み合わせて、新しい商品やサービスの開発に努めていることが多い。
社会学者の加藤秀俊さんが紹介している文章によれば、未来論などで活躍した社会学者のダニエル・ベルは、ニューヨークの知識人とは何かと聞かれて、次のように答えたそうである。どんな課題が与えられても、2分間の準備で、15分のまとまった話が出来る能力を持ち合わせている人のことである。つまり、テーマ(お題)が与えられたら、そのテーマにふさわしい話を創るために、短い時間で、関連する素材を引っ張り出し、吟味した上で選択し、組み立てる。そして人々の期待通りか期待を超える、聞きごたえのある話を提供する。
このような創造力豊かな能力は、ニューヨークの知識人に限らず、誰にも求められる。業界や町内会などの会合での一言挨拶などがその機会になる。国会の予算委員会での質疑応答も、議員同士の当意即妙のやり取りが展開する。
その際に、異質な要素を組み合わせる工夫(少し固い言葉だと「方法」)が必要である。この工夫、方法は、もとはと言えば、「メソッド」ということである。メソッドはギリシャ語を起源としており、「メタ」(after)と「ホードス」(way)の合成語である。つまり、道(方法)に沿って、目的地に向かうことである。どの道を選ぶか、どのような道を切り開くかが肝要である。
この随筆がウェブサイトに掲載される頃には、2022年の新年を迎える。約2年間にわたるコロナ禍を世界中の人々が経験してきた。経験に学び、これからどのような道、どのような生き方を創り出すかが世界は問われている。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
