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Men’s Life Style
金安 岩男

著者:金安 岩男
1947年2月に東京の下町に生まれる。
学部で経済学、大学院で地理学を学び、外資系情報企業、国立大学、私立大学での勤務経験を有し、研究、教育、研修などの各種プロジェクトを実施。地理学者として、計画実践、プロジェクト発想に取り組んでいる。海外諸都市の街歩き、相撲などを趣味に、発想のヒントをいつも探究中。社会的活動として、政府機関、地方自治体の各種審議会、委員会などの会長、委員などを務めている。
主な著書に、『時空間の構図』、『プロジェクト発想法』、その他多数。現在は、慶應義塾大学名誉教授、新宿自治創造研究所所長。

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氷が解けたら
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どの業界を問わず、魅力的なアイディアはビジネスの成功の源泉として重要である。とりわけ、広告業界では命綱となるので、アイディア豊かで新規プロジェクトを提案し実行できる人材は歓迎される。ある広告代理店の採用人事担当者は、面接時に応募者に対して面白い問い掛けをした。その問い掛けとは、「氷が解けたら何になるか」というものであった。

あなたならどのように答えるだろうか。ぜひ挑戦していただき、数分後に、以下の文章に目を通してもらいたい。ここに、いくつかの考えをご紹介する。

課題「氷が解けたら何になるか」

解答例とその心(【 】のかっこ内は、着目点)
「水になる」・・・多くの人が答えそう。 【物理化学】
「春になる」・・・のどかで文学好きな人かな。 【季節】
「ワカサギ釣りができなくなる」・・・ 釣り好きな人。 【湖水面】
「ice-breakingは、人付き合いの上で重要だ」
・・・英語とコミュニケーションに関心のある人の答え。 【氷解】
「ロックが薄くなるので、ウィスキーと氷を継ぎ足す」
・・・宵闇迫れば型の酒好きな人かな。 【アルコール飲料】
「温暖化の影響で海水面が高くなる。太平洋の島々の暮らしが心配だ」
・・・地球温暖化に関心のある人なら。 【地球規模の気象】

関心次第で、その他いろいろな解答が可能であるし、とくに正解があるわけでもない。「氷が解けたら」という問い掛けを、どのような文脈に置くかによって、異なる解答が導き出される。解答者には、多種多様な解答を思いつき、その解答をさらにシステマチックに展開させる能力が求められる。そして、そのアイディアが形になり、商品やサービスの提供につながり、新たな価値を生み出すことができれば、人々の幸せや社会の幸福度も増すことになる。

「もし○○がなくなったら」と想定することは、氷に限らず、思考実験としても大切だ。私はいかなる職業のどんな人間でも存在価値があると考えている者の一人であるが、次の問い掛けによる思考実験は有益である。「もし自分自身の職業がこの世の中からなくなったら?」 この問い掛けは、自分自身の存在意義を見直すよい機会となるかもしれない。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
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