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それなりの意味と意義があれば有用である。
とくに、旧来の固定観念を打ち破り、新たな展開を図る際などには勧められる。
今回表題にした「アブダクション」(abduction)なる言葉を辞書で引くと
<誘拐>などと掲載されているので、少し物騒な響きの言葉である。
私が発想法の意味としてのアブダクションなる言葉があることを知ったのは
川喜田二郎『発想法』(中公新書)を通じてである。
新入社員が企業の新人研修会で学ぶ「KJ法」の生みの親と言った方が、
ビジネス世界の人々には分かり易いかもしれない。
個別の考えを一枚のカードに記載し、
それをカルタのごとく広げ、似た者同士を括っていく。
括ったものにグループの名前を付け、最終的には一つにまとめていく手法である。
ある種の整理法として、そして新たな考えを効果的に生み出す便利な方法である。
このようにして、個別の事柄を一般化してまとめる考え方は、帰納的な方法という。
一方、数学で学ぶような、点とはという定義に始まり、最小限の約束(公理)から、
どのような定理が導き出されるかという思考方法は、演繹法という。
思考方法には、帰納、演繹、発想の三つの方法があると頭に入れておくとよい。
ある世界で一般的なことを、別の世界に応用してみるためには、
ある種の強引さ(誘拐)が必要になる。
企業の特徴を効果的に強調するための手法として、
コーポレート・アイデンティティ(CI )の考え方があるが、
この考え方を大学に応用すると、
ユニヴァーシティ・アイデンティティ(UI )になる。
とかく大学は宣伝下手であるので、
宣伝上手な企業の手法に学ぼうというわけである。
近頃の大学は、マーケティング戦略として、
キャッチコピー、パンフレット(宣伝用小冊子)、
シンボルキャラクター(特定人物による印象付け)、ウェブサイト、
オープンキャンパス(大学公開)など、可能な限りの手段や材料を駆使している。
慶應湘南藤沢キャンパス(SFC)を開設した時の宣伝文句
「君たちは未来からの留学生」は、多くの受験生に歓迎された。
企業と大学との違いがあるのは知りながら、
無理矢理に導入してしまうところに、UIのみそがある。
応用として個人を対象とするならば、各人の特性は何なのか、
私は誰、つまりパーソナル・アイデンティティ(PI)について、
改めて本気で考え直すのもよいかもしれない。
異質なもの同士を組み合わせて、
新たな価値あるものをつくり出すことは、創造性の基本である。
アブダクションは、そのような創造性の考え方に等しい。
そのためには、日頃から、文脈の違いを意識しつつ、
大胆に異なるもの同士を組み合わせる挑戦心と
そのために必要な方法を鍛え続けることが肝要である。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
