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私たちの意思決定や行動に役立つ事柄を情報というが、日本語の「情報」という言葉はいく通りかに解釈されるので、混乱しがちである。天気予報を例にして少し整理してみよう。
全国各地そして世界各地の気温、湿度、風速、気圧などを計測して得られた情報は、個別の「気象データ」である。それらさまざまな気象データを利用して得られた、ある都市の明日の天気予測は、天気予報という名の「情報」である。さらに高度に分析すれば、特定の都市の屋外野球場の時間帯別の詳細な天気予想結果が得られる。これらの詳細な天気予報や予想観客数などの情報が、弁当供給会社がどれだけの数量の弁当を販売用に準備するかの意思決定に役立てば、かなり高度なビジネス「知識」となる。さらに、天候に保険をかければ「天候デリバティヴ」などの高付加価値保険商品につながる。ここまで来ると、高度な分析技術が要求されるし、そのような能力があればビジネスチャンスを作り出すこともできる。
天気予報を例にしてみたが、情報にはおおよそ四つの水準があり、個別情報である「データ」(Data)、データを組み合わせて少し加工した「情報」(Information)、そして付加価値を高めた「知識」(Intelligence)、さらに高度な「知恵」(Knowledge)である。日本語の情報はすべてにわたって使われるので、それが混乱の元になる。無理に日本語にするよりもカタカナの方がその意図するところがはっきりするかもしれない。ナレッジマネジメントなる用語が日本で定着しているのもその現れであろう。
相手の発言内容がよく分からない時、それは情報のやり取りであるコミュニケーションがうまくいっていない場合と考えてよい。よいコミュニケーションを取るためには、表面的な言葉や行動ばかりでなく、その真意を把握することが肝要である。一見異なる意見に見えても、実は根っこは同じということがよくある。コミュニケーションの分野では、これを「氷山モデル」と呼んでいるが、氷山は水面上離れていても、根っこはつながっていることに由来する。いかに根っこを共有するかが、コミュニケーションの鍵である。臨床心理学者の河合隼雄さん(故人)は人びとの悩み解決の専門家であるが、患者さんの相談に乗る時にはすぐ答えを出さずに、悩みの根っこ探しのために、時間をたっぷりかけてやり取りする。すると、患者さんが問題だとしていたことが問題なのではなく、実は別のところに問題があることが共に発見出来る。それを除去してあげれば、問題は解消するのである。この状況を、二人による「傑作」と呼んでいる。すばらしい表現である。
コミュニケーションは、メッセージを介しての相互作用である。お互いが使っている言葉(言語)、ルール(文法)、背景(文脈)などを理解し合いながら、適切な媒体(チャネル)を通じてやり取りする。お互いに得るところがあるようにやり取りすることが、コミュニケーションの基本である。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
