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商売人の基本として、「読み・書き・算盤」の習得が言われてきたが、実に簡潔にうまく言ったものだと思う。算盤はそろばんのことである。文字の読み書きができて、算盤を使って計算ができれば、商売をする上で困らない。江戸時代の寺子屋での手習いなどを思い浮かべると、あらためて昔から続く商売人の基本だと気づかされる。
「読む」ことの基本は、文字を読むことである。これをさらに進め、高めるとどうなるだろうか。深い読み、さまざまな読み取り方、他の分野と関連づけて読み取るなど、その解釈はいろいろある。さらには、文字情報ばかりでなく、画像や音像情報などの各種メディア情報の読み方や理解の仕方も重要になる。そして、解釈するためには、解釈する際に利用するデータベース、分析技法、理論などの存在が大事である。つまり、「読み」から「解釈」にまで高めると、読む作業は高度化する。景気、客筋、競合相手などを読むのは、商売の基本である。
「書く」を高度化するとどうなるか。思ったことだけ書けばよいのなら、日記やブログが相当する。書く内容の種類によっては、議事録、報告書、論文、著作など内容が次第に難しくなっていく。文字ならば書くとなるが、他のメディアである画像や音をつくりだすことになれば、描画、作曲などになる。もし舞踊のように体を使っての表現ならば、身体表現となる。近頃プレゼンテーションの重要性が認識されるようになったが、これは口頭による効果的表現である。つまり、「書く」から「表現」になると、その内容の豊かさが増すことになる。企業は、新しいメディアを駆使して、企業理念、商品イメージ、社会貢献などをどのように表現するかが問われる。
そして、「算盤」はというと、私は珠算1級取得者なので少しばかり自慢になるが、暗算で5桁の足し算ができる。ということは、7桁位まで記憶できるということである。珠算のよい所は、道具を使わずに暗算ができることであり、算盤がイメージとして右脳に描かれ、頭の中で算盤の珠を動かすことになる。これは、囲碁や将棋のプロ棋士が棋譜を記憶しているのと同じである。つまり、道具としての操作、演算などに加えて、右脳のイメージ機能までも含まれる。ネット社会に対応した情報システムの構築と不断の改善・改良は必須であるが、それらシステムや道具を使いこなす能力が肝要である。
日本の読み・書き・算盤に相当する英語は、’the three R’s’ (「三つのR」)といい、’reading, writing and arithmetic’、つまり読み、書き、算術なので日本と同じである。これら三つの基本動作は、これからの時代ではどのように変っていくのだろうか。私自身も、読み・書き・算盤の時代から、情報産業や研究・教育産業の分野に身を置いた経験を持つので、これから何をどのように読み解き、どのように表現し、どのような基本動作を次の世代に奨励しようとするのか、私の個人史としても大変関心のあるテーマの一つである。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
