- ホーム
- Men’s Life Style


2023/05/29
2023/05/02
2023/03/30
2023/02/27
2023/01/27
2022/12/30
2022/11/29
2022/10/31
2022/09/30
2022/09/01
2022/07/29
2022/07/01
2022/05/30
2022/04/29
2022/04/04
2022/02/26
2022/01/28
2021/12/27
2021/11/29
2021/11/05
2021/09/28
2021/09/03
2021/07/29
2021/06/29
2021/05/31
2021/04/29
2021/04/02
2021/02/26
2021/01/29
2020/12/26
2020/11/30
2020/10/30
2020/09/29
2020/08/31
2020/07/31
2020/06/30
2020/05/29
2020/05/01
2020/03/30
2020/02/28
2020/02/03
2020/01/02
2019/11/28
2019/10/29
2019/09/28
2019/09/02
2019/07/30
2019/07/02
2019/05/29
2019/04/27
2019/03/30
2019/02/27
2019/01/30
2018/12/28
2018/11/28
2018/11/02
2018/10/01
2018/08/30
2018/07/30
2018/06/29
2018/05/31
2018/04/30
2018/03/31
2018/02/27
2018/02/01
2017/12/27
2017/11/30
2017/11/01
2017/09/29
2017/08/31
2017/07/31
2017/06/30
2017/06/08
2017/05/29
2017/04/28
2017/03/29
2017/02/27
2017/01/31
2016/12/28
2016/11/29
2016/10/28
2016/09/28
2016/09/02
2016/07/30
2016/06/29
2016/06/02
2016/04/27
2016/03/30
2016/02/26
2016/01/30
2015/12/29
2015/11/30
2015/10/29
2015/09/30
2015/08/31
2015/07/30
2015/07/04
2015/05/30
2015/05/01
2015/03/31
2015/02/27
2015/02/04
2014/12/28
2014/12/01
2014/10/30
2014/10/01
2014/08/29
2014/08/01
2014/07/01
2014/06/01
2014/05/01
2014/04/01
2014/03/01
2014/02/01
2014/01/01
2013/12/01
2013/11/01
2013/10/01
2013/09/01
2013/08/01
2013/07/01
2013/06/03
2013/05/01
2013/04/01
2013/03/01
2013/02/04
2013/01/01
2012/12/03
2012/11/01
2012/10/03
2012/09/04
2012/08/03
2012/06/28
2012/05/11
時間で思い出すことも多々あるが、学生時代に経済学の授業を受講した際に、担当の理論経済学者が紹介してくれたエピソードは今でもよく記憶している。アメリカの経済学会で、ある発表者が持ち時間を超過して発表を続けていた所、座長であるワシリー・レオンチェフ教授(産業連関論の開発により、ノーベル経済学賞を受賞)が次のように言ったそうである。
‘You have minus three minutes!’ (「3分の時間超過ですよ!」)
座長としては、発表者にその成果について少しでも多くの時間説明してもらいたい気持ちはあったが、円滑なプログラム進行のためには時間を厳守しなければいけない。「マイナス3分」の表現は、いかにも学者らしいソフトな表現であり、私が気に入っているセリフの一つである。ベルを鳴らして発表の終了を催促するよりも、スマートな言動である。
人生の持ち時間は、80年プラス、マイナス数年といったところだろうか。そのうち、三分の一は寝ている時間であり、残りの三分の二が起きて活動している時間である。95歳で亡くなるまで活躍された仏教学者の鈴木大拙が11時就寝、5時起床、そして昼寝1、2時間であったということを知って、寝ることに関してだけは私と同じだと思ったものである。
80歳を超えてもなお元気な方々は実に敬服に値するが、私には到底できそうにない。個人的には、私は70歳を人生の区切りと考えている。例えば海外旅行をするに際しても、体調不良になったら、重たい荷物を持って出掛けにくくなる。そこで、ここ10年ほどは国内外に関わらず、行き先をよく考えて、これまで行ったことのない都市や、気に入っている街などを優先的に出かけることにしている。
「70歳までは自分の希望することに挑戦し、その後は人生の付録と考える。
たとえ70歳と1日で人生を終えても構わない。」
と覚悟したのである。そして、旅行先、散歩コース、読書、各種観賞の対象分野なども、これまでに不案内な場所や分野を多くすることにした。
忙しい毎日を過ごし、時間を惜しむのが現役世代の特徴だとしたら、時間を惜しまずに何をやってもよいとするのが年配者の特権である。昔の人は、「不惜寸陰」(寸陰を惜しまず)と言った。すると、実に落ち着いた気分になれるから何とも不思議である。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
