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(2014/02/01)
現在の仕事を辞めて転職を考える機会は、人生で何度か発生することと思う。職業選択の自由は憲法でも保障されているので、転職を希望する人は可能性を求めて挑戦すればよい。転職の基本は、職を求める(求職)側と人を求める(求人)側との供給と需要の問題である。よって、どんなに能力がある人でも、人材を求める側に枠が無ければ就職できない。マクロで考えれば労働市場の話になるが、個人のレベルで言えば、本人がどのような人生を描こうとしているかに帰着するようだ。
求職側の人生には、年代に応じていくつかの段階がある。子供の頃ならば、「よく学び、よく遊ぶ」ことがその主要な役割であり、しっかり学びよく遊べば、人から褒めてもらえる。学業を終え社会人になると、一所懸命に「働く」ことが主な仕事になる。所属する会社などを通じてモノやサービスの生産・流通・消費などの経済活動に関わり、慈善・文化・宗教・スポーツなどの諸活動も行いながら社会に貢献する。仕事の評価は厳しいものがあるが、数字で表せる場合もあれば、そうでない場合もある。それら<働く・遊ぶ・学ぶ・活動>などに<楽しみ>や<休養>などを加えた組み合わせ方が大事で、その組み合わせ方にその人らしさが出て来る。そして約80年前後の人生が終了する。仕事一筋の人もいれば、趣味に生きる人、奉仕活動に熱心な人など、その人間模様はさまざまである。
一方の求人側は、「事業」を遂行することが主要な役割であり、民間企業ならば「稼ぎ出す」ことが求められる。非営利団体ならば、人・組織や地域に対して何らかの「貢献」が期待される。公務員ならば、国や社会全体の「奉仕者」たることが求められている。各人がそれぞれの役割をはたしている限り文句は出ないものである。自分のやりたいことがあれば、それを仕事として取り込むのも一法である。例えば、海外好きの人ならば、海外との取引や海外調査を伴う仕事を企画提案し受注すればよい。仕事と趣味を分けたければ、単純に有給休暇を利用して海外旅行を楽しめばよい。近頃は非営利組織を設立するのも比較的容易になったので、何かしたければ、自分自身の出世を待たずに仲間と立ち上げればよい。
本職の仕事以外に立派な活動をする場合もよくある。明治の文豪森鷗外は陸軍軍医総監などの公職につくとともに、日本の文学界に偉大な足跡を残す活動をしたことで有名である。医者の兼業は多いようで、作家、歌人、弁護士、ジャズ評論家、テレビのコメンテーターなど二足のわらじを履いている人も多数いる。その他では、銀行員にして作曲家・歌手として活躍した小椋佳、テレビ芸人が気象予報士の資格を取り、その知識を活用している場合もある。本業が多忙なのに大したものだと感心するが、ご本人の自己管理と注ぎ込んだ労力は大変なものと想像する。
今時だと、週休二日制度、祭日、有給休暇などを合わせれば、一年の三分の一は休みである。年間の三分の二を会社などの組織に労力を割いてやるべき業務をこなし、残りの三分の一を自分の好きな趣味などに充てることができる。手続きが必要ならば、本務の所属先に兼業を許可してもらえばよい。企業などの組織体にとっても、本職の仕事以外の活動にも能力を発揮してくれる社員を抱えているということは贅沢な話である。組織としても有益なことであり、それなりの度量があってもよい。
求人側の求めるものを満たしつつ、求職側のやりたいことがやれれば理想的である。人生を構成するものに、<働く>、<遊ぶ>、<学ぶ>、<活動する>、<休息する>などの領域がある。これらの領域を完全に分けるも良し、重なりをつけるも良しである。大切なのは、どのように調和させながら自分自身の人生を送るかということであり、正解はない。転職が、暗転ではなく、好転することを願うばかりである。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
