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(2014/03/01)
昨年の三月は奈良に出かけ、飛鳥の地を歩いた。私の感性は大いに刺激され、私の書棚には日本の古代史や万葉集関連の本がいつの間にか増えて行った。旅人は、しばしば時の流れや人生に喩えられる。俳聖松尾芭蕉の『奥の細道』に、「月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也」とあり、国語の教科書などでもお馴染みの一節である。専門家による現代語訳では、「月日は永遠にとどまることのない旅を続ける旅客であり、この人生を刻む、来ては去り去っては来る年もまた同じく旅人である」(頴原退蔵・尾形仂訳注)、となっている。
旅は人生の愉しみの一つである。なぜ愉しみなのか。どこかへ観光旅行することを考えてみると、分かり易くなる。旅行の際のポイントとその手順は、私たちの仕事の段取りやプロジェクトを進める際のやり方と同じである。つまり、<発案・事前準備・実施・事後整理・次の計画づくり>といった内容である。これは、「旅行という名のプロジェクト」と言うことができ、旅人はプラナーにして実践者でもある。旅人は、旅行プロジェクトのすべての過程を愉しんでいるのである。
「旅行という名のプロジェクト」
・発案: 「何となく、どこかへ旅に出たい」という願望
・事前準備: 行き先、コース、日程、日数、予算、参加人数などの具体的検討
・実施: 移動 名所旧蹟 自然 歴史 地理 文化 温泉 宿泊 地元の料理や地酒 友人や知人との旧交 地元事情 スポーツなどの諸活動 土産品の購入 その他
・事後整理: 土産品 土産話 思い出 メモや写真
・次の計画: 次の旅行の企画
旅行の際のポイントと手順は上記のようなものだが、そこには普段の日常生活からなる「日常性」と、異国の地に出向く行為と「非日常性」の世界に身を置く関係が重要な役割を果たしていることにあらためて気づかされる。出発時点と帰着時点では、私たちの意識も変化している。そこで、「旅行」を次のように説明することにしたい。
「旅行とは、日常暮らす土地(日常の世界)から異なる土地(非日常の世界)に移動して、見て歩き、人に会い、食事、買物、宿泊などの活動を通じて、その土地の歴史、地理、文化などを楽しむことである。その過程で、自分自身の感覚や知識の組み換えが起き、そして、新たな視点で日常暮らす土地に戻る行いである。」
私たちの日常の仕事をやりがいのあるものするためには、旅行を参考にして次のように考えるとよい。
「やりがいのある仕事とは、日常の決まりきった仕事の世界から一歩歩みを進めて、人と会い、打ち合わせ、仕事を遂行することを通じて、問題の解決や実現をはかることである。私たちは、仕事に関係する事柄の再編成を通じてより創造的な世界を構築することができ、その過程で、自分自身の感覚や知識の組み換えが起き、そして、新たな視点で次の仕事に戻っていく。」
部品の一つでも不具合があれば、機械は動かなくなるし、事故につながりかねない。一見地味で日常見慣れている事柄や素材でも、別の視点からとらえ直し、価値あるものにするように心掛ける。つまり平凡から非凡への道筋が大事ということであり、毎日の仕事を前向きに考えて取り組みたいものである。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
