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そんな中、和歌に関連して、日本の国歌である「君が代」の原歌とその由来を知ることになった。原歌は9世紀頃にできていたようで、次のようなものである。ここで、「わが君」とあるのは、大君、つまり天皇のことである。
わが君は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで 詠み人知らず
高貴な方々の作ではなく、「詠み人知らず」というのがよい。誰ともなく、皆に詠まれていたということだろう。その後、古今和歌集にも採録され、平安時代後期には、わが君が、君が代になり、必ずしも天皇のことだけではなく、祝いの歌、つまり賀歌として一般化した。
君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで
江戸時代が終わり、明治の時代に入ると、軍楽隊のお雇い外国人から、世界の国々にはそれぞれの国歌があるので、詞を用意してくれれば曲をつくる、との申し出があった。時の大山巌が、薩摩の人々の人口に膾炙されており、賀歌である君が代を推薦した。その後、いくつかの経緯があり、日本の国歌になった。ところが、昭和の時代になってから、君が代は軍国主義の色合いが強くなってしまったのである。
国威発揚や進軍的な国歌が海外では多いが、和歌が国歌になっているということは、文化国家日本が誇れることの一つである。ところが、軍国主義と強く結びつけられてしまったことは、君が代という和歌にとって大変不幸な事であった。個人的なことでいえば、君が代には、私自身の「いわお」、ならびに実母の「千代」、そして母方の祖父の「岩蔵」の三人が歌い込まれているので、特別な感情が湧くというものである。読書中にたまたま和歌に出会うと、どんな和歌でも必ず声を出して詠むことにしている。すると、高校時代に古文でならったことが、古文としてではなく、時代を超えて連続する日本語として身体に入ってくる。
私にとっては、何とも不思議な縁ではあるが、政治的、思想的なことにかかわることなく、「君が代」は、和歌、日本の詩歌のことを考えるきっかけを与えてくれる。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
