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Men’s Life Style
金安 岩男

著者:金安 岩男
1947年2月に東京の下町に生まれる。
学部で経済学、大学院で地理学を学び、外資系情報企業、国立大学、私立大学での勤務経験を有し、研究、教育、研修などの各種プロジェクトを実施。地理学者として、計画実践、プロジェクト発想に取り組んでいる。海外諸都市の街歩き、相撲などを趣味に、発想のヒントをいつも探究中。社会的活動として、政府機関、地方自治体の各種審議会、委員会などの会長、委員などを務めている。
主な著書に、『時空間の構図』、『プロジェクト発想法』、その他多数。現在は、慶應義塾大学名誉教授、新宿自治創造研究所所長。

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日本の賑やかな街中で、街行く人たちにティッシュが無料で配られている場面をよく見かける。受け取る人もいれば、受け取らない人もいる。タダなのに受け取らないのだから、豊かな社会になったものだとつくづく思う。今回は、タダのお話である。

以前に、本欄で「タダコピ」(タダでコピーがとれる仕組みの意)なるものを当時の慶應義塾大学の学生が創り出し、今や各大学ではタダコピが一般化していることを紹介したことがある。タダコピは、無料でコピーがとれるので、便利で安上がりである。タダになる理由は、用紙に学生向けの広告、例えば、旅行、語学教室、自動車運転教習場等々、が印刷されていることにある。つまり、広告したいスポンサーがいて、複写に要する費用と用紙代とを負担してもよい、とすることから成り立つ仕組みである。ティッシュペーパーも宣伝広告のチラシが同封されている。タダコピもティッシュペーパーも、共に広告宣伝費となっていることがそのからくりである。ウェブサイト上の広告も同じ原理である。

この春に、花見見物に皇居の千鳥ヶ淵へ出かけた。今年は、東京の桜開花宣言こそ早かったものの、満開になるまでに何日も要した。東京都内の桜の名所の中でも、千鳥ヶ淵の桜は随一と言っても良いと思うが、こればかりは、人それぞれの好みにもよる。桜見物を終えた後で、九段下の昭和館前のロビーに立ち寄った所、古い本が陳列されていた。無料でお持ち帰りください、とある。良く見ると、「厚生省引揚援護局蔵書之印」がある廃品であった。物色した所、福澤諭吉関連の本があったので、この本一冊を手にして自宅に持ち帰った。

『福澤諭吉の遺風』(時事新報社、1955年刊行)と題されたこの大振りな本は、慶應義塾ゆかりの盒鏡唇賚此⊂泉信三といった方々の序があり、福澤諭吉の生誕地、福澤家旧宅、肖像、書などが多数掲載されている。福澤の字体は見慣れていたが、これだけ沢山の字を眺めていると、より福澤が身近な存在になってくる。福澤が創設した慶應義塾の目的について記した書が掲載されていたので、かつて見たことがあったが改めてじっくり眺める。これは、1896 (明治29)年11月1日のある集まりで福澤が述べたもので、2日後の11月3日付の時事新報社説に掲載された。

その内容といえば、慶應義塾の目的は単に一つの学塾に甘んじることなく、日本国中に、「気品の泉源智徳の模範」になることを宣言し、口だけではなく行動と実践を通じて、「全社会の先導者」になることであった。

福澤の宣言は、慶應義塾という学塾に留まらず、どの組織体、どの職業にも通じる内容である。皆さんが今所属している組織全体もしくは今いる部署、あるいは今行っている事業などについて、改めてその目的を問いただすことは意義がある。そんなことが学べたタダで入手の本であった。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
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